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あけぼの・経営ニュース

vol.370 業績悪化と事前確定届出給与の変更

 朝晩の冷え込みが身に染みるようになって来ましたが、昼間は汗ばむほどの温度の日もあります。風邪などひかないように、 気をつけましょう。

 さて、今回は、「業績悪化と事前確定届出給与の変更」について書かせていただきます。

 いわゆる「事前確定届出給与」は、あらかじめ決めた時期に、決めた金額を支給することを事前に税務署へ届け出て、その後実際に、その届け出た内容の通りに支給を実行することにより損金算入が認められるものです。いわば、役員さん向けの賞与と言った性格のものですので、届け出た内容と実際の支給内容が異なると、全額(!)損金算入が認められません。

 しかし、企業活動は生きものですので、届け出た時期には順調だった経営が、その後何らかの理由で経営不振に陥ることは十分にあり得ます。

 たとえば、7月に事前確定届出給与を届け出通りに支給したが、12月支給予定の下期賞与は届出どおりには支給されなかったケースです。この際は、原則的には、届出どおりに支給された7月支給の上期賞与も、損金不算入とされます。

 ただし、前述したように企業活動には予測不可能な事態も起こり得ます。得意先の倒産によって大幅な受注減となり、決算が著しい赤字となり、資金繰りの悪化も確実と見込まれるケースなどです。

 この際は、一定の期限内に税務署に「事前確定届出給与の変更届出書」を提出すれば、変更後の給与が事前確定届出給与に該当します。 この変更届出書の提出期限は、原則として、その業績悪化があったことにより、事前確定届出給与を変更する内容の株主総会等の決議をした日から1月を経過する日、とされていますが、その変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日(その決議日後最初に到来するものに限る。)がその「1月を経過する日」の前にある場合には、その支給の日の前日とされています。

 ややこしいですね。たとえば、下期賞与の支給予定日が平成26年12月15日として、業績悪化の変更を決議する臨時株主総会等が平成26年11月20日とした場合、その11月20日から1月を経過する日は12月19日ですので、下期賞与の支給予定日は1月経過日より前となり、その支給予定日(12月15日)の前日の12月14日までに「事前確定届出給与の変更届出書」を提出すれば変更が認められるということです。その結果、7月に支給した上期賞与も損金算入が認められます。

 税務では、要件と期限が大事です。特に税務上の特例はなおさら要注意ですね。

2014年11月20日号(370号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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