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あけぼの・経営ニュース

vol.360 債務償還年数

 ワールドカップの1次リーグ突破は、きわめて厳しい状況になりました。勝てばすべて賛辞の対象となりますが、負ければいろいろ非難されるのは世の常。理研の小保方さんのときも、マスコミの豹変ぶりは恐ろしいものがありました。サッカーもこれからどんな意見が出てくるのか興味はありますが、誰かを叩いて溜飲を下げる、という行為にならないよう注意したいものです。

 さて、自社の経営分析をするうえで重要なものに、「債務償還年数」があります。

 銀行が我々にお金を貸し付けるとき、もっとも気にするのが「一体何年で返してくれるのか?」という点です。これはボランティアで融資するわけではないので、ある意味当然のことで、この返済能力は重要です。

 債務償還年数の計算式は、おおざっぱに言えば、借金÷(税引後利益+減価償却費)となります。元金の返済は経費になりませんので、利益から税金を引いた残りが借金返済の元手になる、ということです。

 仮に借金が3千万円、減価償却費が年百万円、年間利益が5百万円、税金が40%で

 3千万円÷(百万円+5百万円×(1―40%)=3千万円÷4百万円=7.5年

 となり、約7年半で完済出来ることになります。

 ただし、実際の計算ではもう少し細かい要素があり、返済できる年数は変わります。

 この債務償還年数は、理想は10年以内とされます。通常なら、新規の融資を受ける際、運転資金5年以内、設備資金7年以内などが基準となるため、すべて10年以内におさまりそうですが、手形借入をして利息のみを支払い続けていて、肝心の元金部分は据え置きになっているとか、或いは大型の設備投資であるため投資効果の実現に長くかかり返済期間も長いとか、途中で返済が苦しくなり、銀行と話し合いをして毎月の返済額を少なくしてもらったとか、さまざまなケースがあります。

 しかし経営の安定で必要なことは、「手元で自由に使えるお金」を増やす(減らさない)ことですので、仮に債務償還年数が10年を超え、財務状態が要注意であると銀行から判断されることがあっても、返済を急ぎ過ぎてはいけません。借入の返済のみで運転資金がなくなってしまい、新たに利益を増やすべき本業にかけるお金がなくなってしまっては、元も子もないのです。銀行さんだって、融資した会社が借金の返済のみで首が回らなくなり、つぶれたって構わないとは思っていません。きちんと事業計画を作り、返済可能額を誠実に計算し、着実に返済していけることを説明することによって、銀行さんも考えてくれます。雇用を守り、取引先を守るという事業継続が、会社の責任です。

2014年6月20日号(360号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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