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あけぼの・経営ニュース

vol.368 使用人兼務役員

 先週の土日は行楽日和でしたね。秋空が広がり、ここ筑西市でも地区の運動会やお祭りが開かれました。10月が終わると一気に年末モードになってしまいますので、今のうちに短い秋を楽しみましょう。

 さて、会社の役員のうち、使用人兼務役員と呼ばれる地位の方がいることはご存じだろうと思います。

 使用人兼務役員とは、たとえば取締役営業部長とか取締役総務部長とかの使用人(従業員)としての肩書を持っている役員のことをいいます。

 この使用人兼務役員のメリットは

  1. 「使用人分の給料」は、定期同額給与の制約を受けない
     従って使用人兼務役員の「従業員部分」の給料は、毎月変動させることができます。
  2. 賞与・残業手当を支給することができる
     役員賞与は、「事前確定届出」をしていない限り、原則として損金になりませんが、使用人兼務役員の「従業員部分」の賞与は、損金にすることができます。
     また、「従業員」業務の残業手当も損金にすることが可能です。
  3. 雇用保険に加入することができる
     役員は、雇用保険に加入することができませんが、使用人兼務役員の「従業員部分」は加入できます。 また、役員は労働保険の対象から外れますが、使用人兼務役員の「従業員給与部分」は労災保険の対象となります。

 一方、使用人兼務役員に絶対なれない人もいます。

  1. 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
  2. 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
  3. 委員会設置会社の取締役、会計参与、監査役、監事
  4. 上記のほか、同族会社の特定の役員、ほか

 要は会社の経営に根本的に関わっていて、支配権がある人は、その名義を問わず、使用人兼務役員にはなれません。

 ところで、法務局の登記上は代表取締役と取締役などがあるだけですので、使用人兼務役員がいる場合は、定時株主総会や取締役会の議事録で、使用人兼務役員の扱いや役員報酬部分を書面で残す必要があります。特に使用人兼務役員の使用人部分の給与が役員報酬部分よりも少ないと雇用保険に加入できないとか、毎月変動できる使用人部分の給与算定の基準が一般社員とかい離していると税務署から否認される、などの可能性もあるからです。具体的には、顧問の会計事務所に相談されることをお勧めします。

2014年10月20日号(368号)

 文中、1. 2. 3. 4.の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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