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あけぼの・経営ニュース

vol.358 生命保険契約者の変更

 昨日までの暑さとは打って変わって、今日は冷たい雨です。5月は気温の上下変動も大きいので、体調管理に気をつけましょう。

 さて、皆様の会社では、社長様を被保険者とした法人契約の生命保険に加入していることが多いと存じます。無借金経営の会社は少ないので、まずは社長様に万が一のことがあった場合に、会社が受け取る保険金で借金を完済し、かつ次の後継者が決まるまでの運転資金や、或いはやむを得ず会社を畳まなければならない場合の、社員さんへの未払い給与や退職金、そして残されたご家族の当面の生活費を準備しておく目的だと思います。いわゆる掛け捨ての定期保険であれば、法人の損金(必要経費)に落とせるので、一番少ない費用で、リスクを避けることができます。

 一方、保険料の半分が損金で落とせる解約返戻金があるタイプの生命保険は、通常社長様が将来退職される際の退職金の準備や、納税が多額になる場合の「節税」として加入されたケースが多いと思います。

 ただ、この解約返戻金があるタイプのものは、一番返戻金額が高くなる解約返戻率のピーク時と、実際の解約時期を一致させることができないケースが大部分で、これは解約予定時期よりも早く資金が必要になってしまい、保険契約を解約せざるを得なくなってしまうためです。しかも想定より早い時期の解約によって、赤字以上の解約返戻による雑収入が発生して、多額の納税を強いられるケースも多いようです。従って、このタイプの保険契約は、ピークが来るまでは絶対に契約を維持できる財務内容が必要ですし、場合によっては解約せずに、保険契約を法人から個人に変更するなどの対策も検討する必要があります。この契約者変更は、現金で退職金を払うのではなく、保険契約そのものを退職金として個人に渡し、その個人が保険契約を継続するものです。

 契約者の変更時の税務上の金額は解約返戻金相当額ですので、たとえば、解約返戻率のピーク前に社長様が体調不良によって退職せざるを得ない場合とか、会社の業績が悪化して保険料を支払い続けると赤字が膨らむが、社長様個人であれば、それまでの個人の蓄積によりピーク時まで保険料を払い続けられる場合などです。

 保険会社によっては、一定期間は解約返戻率が極めて低く、一定期間を過ぎると急速に返戻率が上がる商品もあり、これは解約返戻率の低いうちに契約者変更を行い、将来個人が解約して満額近い返戻金を受け取ることを想定しています。退職金準備や相続税対策で使われているようですが、噂では一部の保険会社の契約については税務調査が入って、行きすぎた租税回避行為として指摘を受けている、という情報もあります。

 顧問の会計事務所と良く相談して、あらぬ疑いをかけられぬよう注意しましょう。

2014年5月20日号(358号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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