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あけぼの・経営ニュース

vol.354 消費税の増税と棚卸計算

 日に日に暖かくなって来ました。東京都内はまだ桜の開花は見られないようですが、向こう1週間はずっと気温の高い予報が出ていますので、来週末あたりにはお花見ができますね。

 さて、いよいよ消費税の増税が実施されます。最近のTVワイドショーでも、増税前に何を、いつ買えば一番得をするかなど、騒がしくなってまいりました。特に車や家電など金額の張るものは影響が大きいですから、当然とも言えますね。

 ところで、中小企業において増税前に駆け込みで多めに商品仕入れを行うと、棚卸の計算はどうなるのでしょう?

 法人の棚卸の計算方法は、原則的には最終仕入原価法といって、「期末棚卸資産をその種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その事業年度終了の時から最も近い時において取得をしたもの、すなわち最終仕入に係る1単位当たりの取得価額をもって、その棚卸資産の1単位当たり取得価額を計算」します(法令28[1]一ホ)。

 つまり、一番最後に仕入れた金額で同種の商品全体を計算するので、たとえば1050円で100個仕入れた後に、1080円で50個仕入れたが、その全部が在庫で残った場合、合計150個の商品はすべて1080円で計算する、ということになります。

 4月決算法人が、消費税率アップに備えて3月中に大量の仕入れを行うと、決算期末における棚卸資産の圧倒的部分を3月以前仕入分が占めることになります。決算月である4月に最終仕入を行う場合には、その仕入数量がわずかであるにもかかわらず、その消費税率アップ後の最終仕入価格をもってその棚卸資産の全部の価格として棚卸計算を行うため、実際の取得原価からすると棚卸価額が過大に評価される結果となり、一見不合理に感じられます。 しかし、消費税率アップに伴う棚卸計算上の例外的な取扱いも見当たらないようですし、上記の「種類等の異なるごとに区別」することとは、期末の棚卸資産をその種類、品質、型、商品番号等の異なるごとに区別することをいいますから、仕入時の消費税率が異なる棚卸商品があっても、それらの種類等が同一である限り、区別して棚卸の計算を行うことはできません。

 したがいまして、たとえ全体の棚卸数量に占める最終取引に係る数量の割合がわずかであっても、最終仕入原価法で評価する限り、その実際の最終取引価額をもって最終仕入価額として計算すべきことになり、3月以前の仕入分を区別して棚卸の計算を行うなどの必要はないことになります。

 日本の税法の細かさは世界一と言われますが、今回のような税率変更はめったにないため、カバーできない部分も出てくるのかもしれません。

2014年3月20日号(354号)

 文中、[1] の部分の原文は、○付きの数字です。

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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