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あけぼの・経営ニュース

vol.351 純金積立の解約

 アメリカの金融緩和政策の変更で、新興国の通貨安が顕著になってきています。その影響で日本の株価も続落し、ここ何日かは円高にふれつつある状況のようです。

 借金漬けの我が国が取った「賭け」であるアベノミクスが思うような結果を出せない場合、我が国の破たん(はっきり言えば破産ですね)の時期が確実に前進します。自国の通貨に対する不安、すなわち国の将来への不安感が高まると金などへの投資が増えますが、ここ何年かのアメリカの金融緩和の影響で、金の価格はピーク時の3割くらい下がっているようです。最近、この金やプラチナの相場に関するニュースも多いので、今回は「純金積立の解約」について書かせていただきます。

 純金積立の仕組みは、毎月コツコツと純金を買っていくものです。このコツコツと買っていくのか、それとも積み立てた資金がある一定以上になったら純金を買う仕組みになっているのかにもよりますが、いずれにしても「解約」するということは、買い貯めた金を市場に売却することになるので、譲渡所得が発生します。積立貯金を口座から下ろした、というイメージではないわけですね。

 譲渡所得の場合、売った値段から買った値段を引いて利益があれば、その売却益に対して税金がかかります。もっとも金、プラチナは土地や建物ではありませんので、分離課税ではなく総合譲渡課税とされ、利益から50万円の特別控除も引けますし、5年超保有(長期譲渡所得)していれば、さらにその譲渡益を2分の1にできます。この総合譲渡所得は、損益通算といって給与所得や事業所得などの他の所得と通算(黒字+黒字、黒字-赤字など)されて、その残った金額に税率をかけて所得税を出します。

 ところで、この純金積立の場合、面倒なのは保有期間ですね。

 毎月コツコツと買い貯めるということは、今月買った分は5年後にならないと長期譲渡所得になりません。来月買うものも同様で、5年経たないと長期譲渡所得にはならないわけです。仮に8年後に解約しようとする場合、毎月96回の買い付けをしてきたわけですからこれを短期と長期に分けて、50万円の特別控除をまず短期譲渡所得から引き、残りがあれば長期譲渡所得から引きます。譲渡益の計算は売値-買値ですから、毎月1万円で金を買い続けてきた場合は、買える量は金相場の変動によって上下しても買取合計は変わらないので問題はありませんが、毎月決まった「量」を買い続ける場合ですと、金相場の変動と連動して買い取る金額が上下することになりますので、毎月の買い取り金額の月別計算が必要になりますし、この毎月の買取金額を税務当局に証明する資料も必要になってきます。

 売却時を考慮して取引明細書や購入明細書などを保管しておくべきですね。

2014年2月5日号(351号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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