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あけぼの・経営ニュース

vol.367 生命保険金を分割受給した場合の税金減額

 台風直撃ですね。ここ茨城県を台風が通り過ぎるというのは、ホント珍しいですね。

 湘南では若いサーファーが行方不明ということで、同じ趣味を持つ者として心配です。でも潮の流れや、風の強い台風のときに海に入っちゃいけません。

 さて、先日判決が確定したことにより、生命保険金の相続税法上の取り扱いが変わりました。

 皆様は死去した場合に支払われる生命保険金のもらい方ですが、一回ではなく複数年に渡ってもらうことを「選択」できる「特約」があることをご存知でしょうか?

 保険会社や保険商品によっては、この特約を選択(追加も可)できるケースがあります。たとえば5千万円の生命保険金を会社で受け取る場合、会社が黒字であれば4割くらいの税金がかかるので、手取り額は約6割の3千万円になります。でも、もしこの5千万円を5年間に渡って受け取れれば、1年目が黒字なら手取り額は5千万円の5分の1の6割、つまり600万円で、払う税金は400万円となり、理屈上は5年間に渡ってこの税金を取られ続けるわけですが、会社経営は生き物ですから、2年目以後も毎年黒字とは限りません。また、役員報酬を増やすことで会社をあえて赤字にすることも出来ます。ご存知のように、仮に会社が1千万円の赤字だったら、この年もらう保険金に税金はかからず、結果まるまる1千万円を手取り額として受け取ることができます。

 さて、平成26年9月11日の東京高等裁判所の判決で確定した内容は、この会社が保険金を受け取る話ではなく、複数回で保険金を「相続人である個人」が受け取った場合の、税金の計算方法に関して、でした。

 この複数回での保険金受け取りについては、今まで相続税法上の課税方法は、1回で保険金をもらった時と同じでした。つまり1千万円を5年間でもらっても、合計5千万円の一発課税だったわけです。ところが相続税では、もともと年金受給権はもらう年数によって減額があり、複数回でもらう生命保険金も年金と同じではないのか、という納税者からの訴訟があり、結果として国側が敗訴したのです。しかもこの裁判の確定を受けて過去の取り扱いが誤りであったことになり、法定納期限から5年以内であるならば、さかのぼって払い過ぎた税金を還付してくれることになりました。もちろん納税者は待ってるだけではだめで、更正の請求といいまして、税金を返せ、という意思表示のための申告が必要になります。

 会社で契約した保険契約なら、年金受給の特約を付けることによって課税の分割を図れ、個人での保険契約なら、年金受給権と同じように税金が下がる、ということです。

 税金を知ることは、わが身を守ることにもつながります。

2014年10月5日号(367号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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