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あけぼの・経営ニュース

vol.353 少額減価償却資産の取得価額の判定

 日が長くなってまいりました。

 天気が良い日は春のような暖かさを感じます。早く春になってくれないかな、と毎日思わざるを得ませんね。

 さて、地方でも少しずつ景況感が上がってきているようですので、今回は少額減価償却資産の取得価額の判定について書かせていただきます。

 たとえば、ある会社が決算対策で事務机と椅子を買い換えたい、とします。購入単価は、事務机9万円、椅子3万円で、全部で20セット、総額は240万円とします。 この購入費用はすべて経費で落とせるのでしょうか、或いは固定資産に計上して減価償却しなければならないのでしょうか?

 法人税法の「少額の減価償却資産」の取得価額の考え方としては、[1]事務机及び椅子はそれぞれ別個の資産として考えるべきで、いずれも購入単価が10万円未満なので少額減価償却資産に該当する、逆に[2]使用形態から事務机と椅子はセットで機能するのであり、1セットで考えるべきなので購入単価は12万円となり、少額減価償却資産に該当しない、の2通りが想定されます。

 実は法人税法では、取得価額が10万円未満、或いは20万円未満、または30万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定することとされています。

 今回一括購入したい事務机及び椅子は、通常は1個の机と1個の椅子がセットとなって使用されることから、[2]のように「1セットで考えるべき」とも思えますが、実はこのポイントは、「使用される単位ごと」ではなく「取引される単位ごと」で判定されることです。 従って事務机と椅子は、応接セットのようにセットで取引されるものではなく、それぞれ別個に取引されるのが通常ですから、取得価額が10万円未満であるかどうかは、事務机及び椅子それぞれ個別に判定するのが相当と考えられます。

 また、耐用年数表の「器具及び備品」を見ますと、「応接セット」が一の減価償却資産として掲げられているのに対して、「事務机」及び「事務いす」はそれぞれ別個の資産として掲げられていますので、これらをセットで一個の資産として取り扱うことは不合理とも考えられます。

 結論を言えば、取得価額の考え方としては[1]が妥当であり、事務机及び椅子はいずれも取得価額が10万円未満で、少額の減価償却資産に該当することとなり、それらの購入総額240万円については、事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をすることにより損金の額に算入することができる、と考えられます。

2014年3月5日号(353号)

 文中、[1] [2] の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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