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佐藤会計タックスニュース

vol.246 外注と給与の税務区分

 こんにちは。

 大幅遅れのタックスニュースとなってしまい、申し訳ありません。

 昨日は地震警報が発令され、思わず身構えて不測の事態に備えておりましたら、どうやら「誤報」ということだったようです。そもそも地震の予知は現状では不可能と聞いたことがありますが、たとえ1~2秒前であっても地震警報があるに越したことはありません。誤報に対する非難もいろいろあるようですが、何事も最初から完全はないと考えて、地震科学の発展を見守りたいものです。

 さて、今回は「外注と給与の税務区分」について書かせていただきます。

 景況悪化の折、今までは給与として支払ってきたものの社会保険や消費税の負担が重く、いわゆる社内外注として処理を変更したいとお考えの経営者もいらっしゃると思います。もちろん勝手に社員を外注扱いにすることや、形だけの「外注化」は許されるものではありませんが、税務上はどういったところで給与と外注の区分をしているのでしょうか?

 最近の判決として、電気工事業者が従業者に支払った報酬が外注費に当たるか給与に当たるかが争われた事例があり、その判決(東京地裁平成19年11月16日判決)では、以下のように、給与所得に当たると認定されました。

 仮に電気工事業者をA、従業者をBとしますと、

  1. BはAから指定された仕事先で、Aの代表者等の指示に従い、基本的に午前8時から午後5時までの間、電気配線工事等の作業に従事し、
  2. Bは1日当たりの「基本給」や約2割5分増しの「残業給」から遅刻による減額分を差し引いた金銭を受け取っており、
  3. この間Bは、Aに常用される者として他の仕事を兼業しておらず、
  4. BによるBの使用する材料の仕入れもなく、
  5. ペンチ等のほかにBが使用する工具器具等の営業用資産を所持せず、
  6. さらにAがBの定期健康診断の費用を負担し、
  7. Bに無償貸与する作業着もAが購入し、Aが福利厚生費処理をしている。

 以上を総合的に考慮すると、その労務の実態は、いわゆる日給月給で雇用される労働者と変わりがないと認め、従ってBについては自己の計算と危険において独立して電気配線工事業等を営んでいたもの(外注先)と認めることはできない、とされました。

 外注費かどうかの判断は、タイムカードを打っていれば社員扱いという単純なものではなく、労働実態に即して判断されていることが良くわかりますね。

2009年8月20日号(246号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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