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佐藤会計タックスニュース

vol.245 相続税評価額が0円の株式を同族会社に贈与した場合

 こんにちは。

 いよいよ総選挙ですね。自民党の敗色濃厚といわれていますが、蓋を開けてみないとわからないのが選挙です。日本国民の総意はどのような結果をもたらすのでしょうか?ワイドショーも酒井法子の失踪騒ぎ一色ではなく、もっと大切な国政の行方を論じてほしいものです。(無理か・・・)

 さて、今回は「相続税評価額が0円の株式を同族会社に贈与した場合」についてです。

 たとえば、自社株(非上場株式)を評価したら相続税評価額が0円だった場合、その自社株を同族会社に贈与しても一切税金はかからないのでしょうか?

  1. 贈与税の「時価」について

     贈与税の課税における「時価」は、原則は評基通により評価することとされております。したがって、評基通に基づいて評価した価額が「0」である場合には、原則的に時価は0となります。これは、贈与税は有償取引によるものではなく、無償による資産の移転を課税原因としていることから、評価の安全性等(無償取引にも関わらず、金銭で評価することの評価判断の不確実性とでもいいましょうか)から必ずしも時価評価はされていないという理由からのようです。

  2. 譲渡所得課税について

     一方、譲渡所得(所得税)の課税における時価は、評基通により評価した価額ではなく、客観的交換価額ということになります(時価の概念が異なる)。
     譲渡所得は、資産の所有者の所有期間の値上がり益を清算することを前提として課税されるものであり、原則として、資産の移転時の時価で課税されます。
     本件の株式の価額が「0」であるというのは、贈与税の評基通によって評価した価額であり、客観的交換価額によったものではありませんので、相手方が法人である場合は、時価により譲渡所得が課税されます。この場合課税されるのは贈与した側と贈与を受けた側の両方になります。仮に300万円の「時価」の株式を0円で同族会社に贈与した場合には、贈与をした側が、本来300万円もらわなければならないのに0円で「売った」という判断で、300万円を基準に譲渡所得(所得税)の計算をしなければならず、贈与を受けた側は0円で300万円の価値のある株式を「買った」ので、300万円の低額譲受益または債務免除益(法人税)の計上を強制されることになります。
     ちなみに個人間の贈与においては、時価課税を強制されず現実に授受された対価(0円)を譲渡収入金額としますので、課税の問題はありません。

2009年8月5日号(245号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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