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あけぼの・経営ニュース

vol.345 粗利益額を増やす二つの考え方

 今話題の「俺のフレンチ」、「俺のイタリアン」ってご存知でしょうか?

 中古本売買のブックオフの創業者が新たに開発したフレンチやイタリアン、和食などのレストランです。

 基本は立食形式で、高級食材を使った料理を一流のシェフが低料金で提供するというものです。従って、飲食店としては異例の材料費率70%前後を維持し、店によって多少違いはありますが、約2時間の時間制限で、回転率で粗利益額を出すというものです。

 粗利益額は「粗利単価」×「数量」で成り立っているわけですが、この「数量」を紐解くと、飲食業であれば営業時間内にどれだけのお客様をお迎えできるか、すなわちお客様が手狭に感じない程度の席数の多さや、時間帯によっての相席や、そして料理をお出しするまでの時間短縮により回転率を上げる、という発想になります。定番で言えば、牛丼チェーンでしょう。しかしこの「俺の株式会社」が展開している数量を増やす戦略は、一流のシェフによる料理を低価格で短い時間で楽しんでいただくことで回転率を上げる、というもので、実際に料理一品一品のボリュームが多く、食事が終われば立ちっぱなしで足も疲れることから、ほとんどのお客様は1時間半くらいで退席しています。

 私も、イタリアン、フレンチいずれも行ってみましたが、大変満足できる内容でした。食事だけで一人あたり2500円くらい、ワイン1本の値段が市販価格の999円プラス(俺のフレンチTable Taku)ですので、極めてリーズナブルです。お客様はほとんど若い人たちで、新たなレストランの業態が出てきたという印象でした。

 一方、粗利益額の「数量」を減らさずに「粗利単価」を上げるためには、様々な付加価値を商品やサービスにつけなければなりません。

 同じく都内でレストランを多店舗展開している「カシータ」は、一人一人のお客様のデータをコンピューター管理し、予約の段階で来店される理由(例えば結婚記念日とか、誕生日、定年の記念など)を聞き、実際に来店する際には、店の前に立ってお客様をお迎えし、お見送りもそのお客様を担当したシェフ以下全員で店の前で行うという徹底ぶりです。もちろん刺繍で名前を入れたテーブルクロスを用意したり、ウェイトレスやウェイターがすべてのお客様をお名前で呼ぶ、などお客様の「特別感」を喚起するための仕組みが随所に散りばめられています。このお店の朝礼を見学する機会が以前ありましたが、全員で今日お見えになるお客様の情報を発表して、担当チームを割り当て、どういった接遇をするかを話し合っていました。このレストランも何度か情報番組に出ていますので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。粗利益額を増やすためには様々なチャレンジと、他には真似できないほどの「徹底さ」が必要なんですね。

2013年11月5日号(345号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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