筑西市ナビ「ちくナビ!」

筑西市ナビ 「ちくナビ!」

佐藤会計タックスニュース

vol.339 中小企業倒産防止共済の掛金の損金算入

 参議院選挙は自民党の圧勝でした。

 安定多数を得た自民党政権は、日本の景気を上げることができるでしょうか?頑張って欲しいものです。

 さて、中小企業倒産防止共済掛金(倒産防とか経営セーフティー共済と呼ばれていますね)の掛金は損金や必要経費に算入できることはご存じかと思います。

 では、当期掛金を月払いしていたにも関わらず、なお利益が出るため決算対策として期末に翌期分をまとめて支払い、損金に落とすことはできるのでしょうか?

 たとえば、ある会社(A社、6月決算法人)が、倒産防に加入しており、これまで毎月5万円の掛金を支払ってきたとします。ところが今期は大幅な増収増益となったため、決算対策として、上記の共済の掛金を上限の20万円に増額するとともに、決算月以降の1年分を年払いしたとします。

 A社においては、この年払いした掛金を、法人税基本通達2-2-14の短期前払費用の取扱いを適用して、今期において一括して損金算入できるのでしょうか?

 1年以内の費用を一括払いした場合に、一定の条件のもとで一度に損金算入できる短期前払費用というものがあります。これは継続適用を条件に損金に落とせる制度で、代表的なものとしては生命保険料の一年分を前払いして、一度に損金で落とすケースがあります。

 ところで、租税特別措置法は、法人が、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための共済契約に係る掛金(長いので「倒産防の掛金」としましょう)として支出した金額は、その支出した事業年度の損金の額に算入される(措置法66の11[1]二)が、ただし、この倒産防の掛金を前納した場合には、その前納の期間が1年を超えるものは、この支出時損金算入の規定の適用外とする(措置法通達66の11―3)、と言っています。

 要するに、倒産防の掛金は、短期前払費用の取扱い(法基通2-2-14)を適用するまでもなく、前納の期間が1年を超えない限りは、納付時の損金の額に算入できますし、短期前払費用のように継続適用を要件とされることもない、ということです。

 A社の場合、今期の決算月(平成25年6月)において平成25年6月分から平成26年5月分までの1年分を一括払するということですが、その場合の前納分は平成25年7月分以降の11か月分となり、1年を超えませんので、年払いした掛金の全額を支払時の損金の額に算入して差し支えないことになります。 もちろん翌期は26年6月分の1月分だけ、またはさらに向こう1年分を損金算入できることになります。

2013年7月20日号(339号)

 文中、[1] の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

このページのトップに戻る