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佐藤会計タックスニュース

vol.331 カード払いのインプラント治療と医療費控除

 今日は啓蟄、日差しも穏やかで春の到来を予感します。北海道では雪に慣れた道民さえ、命を落とすような地吹雪がありました。日本全国、早く暖かさを実感したいですね。

 さて、今回は最近話題の歯科でのインプラント装填手術代金の医療費控除について書かせていただきます。

 例えば、虫歯がひどく歯を抜歯し、インプラント装填手術を行い、その費用が20万円かかったとします。さて、この費用は医療費控除の対象となるでしょうか?

 また、仮にその費用をクレジットカードで支払った場合、その費用を医療費控除の計算に計上するのは、カードを使った時でしょうか、それとも銀行口座から実際に代金の引落しが行われた時でしょうか?

 歯科で行われているインプラントとは、ご存じのように、歯を虫歯や歯周病、外傷などで失った場合に、義歯が簡単には外れないように骨に直接埋め込む人工の歯(人工歯根)のことをいいます。

 このインプラント装填手術は、歯科医師による診療又は治療そのものですし、その対価20万円は特別な材料を使用したことによって高額な医療費となったものではなく、通常のインプラント装填手術代金として一般に支出される水準を著しく超えた高額なものとは考えられないと思います。 また、虫歯により抜歯した箇所にインプラントを装填するということは、食べ物の咀嚼に必要な義歯の装填というべきものであって、美容整形を目的としたものとも考えられませんので、その費用については、医療費控除の適用を受けることができると考えられます。

 ところで、消費者がクレジットカードで販売業者等から商品・サービスを購入した場合には、一般的には、商品・サービスはその場で消費者に提供され、その代金はその後クレジット会社から販売業者に立替払されます。そして、さらに後日その消費者がクレジット会社にその立替払してもらった代金を返済する流れになります。

 そうすると、医療費控除の対象となる医療費の額とは、「その年中に支払った医療費の額」とされていますので(所法73条1項、所基通73-2)、医療費控除の対象となる医療費の額は、歯科医師に対してそのクレジットカードを使った日に計上されるべきであり、銀行口座からカード使用総額を引き落とされた時ではない、ということになります。

 結論として、歯科でのインプラント装填手術代金20万円は医療費控除の対象となり、その適用月日はクレジットカードで支払った日ということです。 一般の事業においても、カード払いの時には、領収書やレシートの保管が大切なのですね。

2013年3月5日号(331号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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