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佐藤会計タックスニュース

vol.328 変動費率のワナ

 今年の冬は寒いですね。夏暑く、冬寒く、が景気上昇の基本ですから文句は言えませんが、早く暖かい春になってほしいものです。

 さて、今回は「変動費率のワナ」というテーマで書かせていただきます。

 我が事務所で毎月提供させていただいている「未来会計図」は、売上と変動費、固定費そしてその内訳を、ビジュアルに図で表現させていただいたものです。その主な目的は収益構造の変化を、細かな科目ごとではなく、全体像として知ることにあります。要は、どこをいじれば利益がいくら出るのかを、全体から判断するわけです。

 しかし、特に将来の予測を立てるときに注意しなければならない部分があります。それは、変動費は売上に変動しない、という事実です。

 ご存じのように、一般的に変動費は売上に応じて変わる費用とされており、一方固定費は売上の増減にかかわらず、毎月かかる費用とされております。

 ここで、仮にある会社の変動費率を考えてみます。

 売上単価100円×100個=10,000円(売上金額)、仕入単価70円×100個=7,000円(変動費合計)。

 そうすると、この会社は、変動費率70%、粗利益率30%ということになります。

 では、売上が1.2倍の12,000円のとき変動費はいくらになるでしょうか?

 12,000円×70%=8,400円?

 実はわかりません。これは数量が1.2倍(120個)売れれば正しい考え方です。しかし、仮に10%の値引き効果で、多く売れたとすると、

 12,000円÷90円(100円×90%)≒134個売れ、変動費は70円×134個=9,380円(実際の変動費合計)となり、9,380円÷12,000円≒78%(変動費率)、粗利益率は22%となります。

 一方、10円の値上げが成功して売上が増えたとすると、

 12,000円÷110円(100円+10円)≒110個売れ、70円×110個=7,700円(実際の変動費合計)となり、7,700円÷12,000円≒64%(変動費率)、粗利益率36%となります。

 つまり変動費が変動するのは売上金額に対してではなく、売り上げた数量に比例するのです。特に、将来の見込み計算をするときは、単純に見込み売上に変動費率をかけて良いのは、将来の売上構成も仕入構成も変わらない場合です。新商品や新サービスを導入する場合は、別途その部分を引っ張り出して計算しなおす必要があります。

 月次決算書で変動費率が変わった時も、その原因を調査することが大事ですね。

2013年1月20日号(328号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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