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佐藤会計タックスニュース

vol.338 退職後引き続き使用人として勤務する役員の退職金の損金算入

 参議院選挙が始まりました。ある意味、これからの日本の行方を左右する選挙です。

 自民党が過半数を確保すれば、いわゆるアベノミクスが推進され、同時に憲法改正がなされて行くのでしょう。一方野党数党で過半数を占めればねじれ状態が継続され、国政の停滞が続いてしまうことになります。どちらが良いのかをしっかりと判断していきたいものです。

 さて、ここ地方でも業績の上がった企業が増えてまいりました。同時に経営者の世代交代の時期でもあり、役員退職金の支給の有無の相談も出てくるようになりました。

【質問】

 当社(3月決算、同族会社)の取締役のA氏(当社の同族関係者ではない。)が、平成25年3月末日をもって取締役を退任することになり、平成25年3月25日に開催した臨時株主総会において役員退職金として1,500万円を支給する旨を決議し、平成25年4月10日に支給することになりました。

 ところで、後任者への引継ぎの関係から、A氏には、役員退任後も当分の間使用人として勤務してもらうこととしています。この場合、勤務実態に変化がないと認定され、役員退職金の損金算入が否認される可能性がありますか。

 なお、この役員退職金は、当社の役員退職規定に基づいて算定される金額であり、過大なものではありません。

【回答】

 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により確定した日の属する事業年度とされていますが、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認めることとされています(法基通9-2-28)。

 ところで、取締役がその退職後も引き続き使用人として勤務する場合には外見上の勤務実態に変化がないことから、退職の事実がある、といえるかどうかが問題となります。

 しかし、役員が使用人になった場合には、たとえ勤務関係は継続していても、法律上は従前の委任関係が解消され、新たに雇用関係が発生したものと認められることから、役員としての地位を一旦退任し、改めて使用人として雇用されたものと考えるのが相当と思われます。 したがって、当社がA氏に支給する退職金は、その額が適正なものである限り、株主総会の決議によりその支給額が具体的に確定した日の属する事業年度(平成25年3月期)か、または、実際に支給した日の属する事業年度(平成26年3月期)において、損金経理により損金の額に算入することができるものと考えられます。

2013年7月5日号(338号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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