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佐藤会計タックスニュース

vol.301 貸倒損失の計上時期

 こんにちは。

 先日、卒業した大学の茨城県県西地区の校友会設立総会がありました。

 上は80代(?)から下は20代までの卒業生が、酒を片手に昔や最近の大学の様子を語り合い、楽しいひと時を過ごすことができました。

 初めて逢うにも関わらず、学校という共通の経験が旧知の友のような雰囲気を醸し出し、学生時代に戻ったようでしたね。楽しかったです。

 さて、今回は「貸倒損失の計上時期」について書かせていただきます。

 ご存知のように、法人税法では貸倒損失の計上ができる条件を、債務者に対する法的整理または私的整理に基づき債権が切捨てられ、あるいは書面により債務免除をした場合、及び債務者の資産状況、支払能力等からみて債権の全額が回収できないことが明らかになった場合としています。

 要は回収できない金額が法的に明確になれば損金(必要経費ですね)を認めるということですので、逆にいえば相手が休眠会社になってしまったり、実質的には破たん状態にあるのに法的措置を取っていない場合などは、貸倒損失は損金として認めないということになります。

 では、財務上の視点で言えば、この貸倒損失はいつ計上すべきでしょうか?

 この貸倒損失予備軍とも言える金額は、実際には貸し倒れになる確率がきわめて高い「不良債権」そのものであり、にもかかわらず資産の部に記載されたままですので、会社の貸借対照表の総資産額はその分膨らんでいる状態にあります。自己資本比率の計算式は「自己資本÷総資産」ですから、自己資本比率を悪化させ財務内容を悪くしてしまう結果となります。金融機関を意識した決算を考えれば、できるだけ格付けを落とさずに有利な条件を確保したいところですので、やはり早めの処理がのぞましいところです。自社で回収不可能と判断した時期が、貸倒損失を計上すべき時期と考えられます。

 税務との調整方法は、会計上は貸倒損失を計上して、法人税法上は貸倒損失の計上により減額された当期利益にその貸倒損失額を加算して申告します。そして後年に法人税法上の貸倒損失要件を満たせば、会計上の当期利益からその貸倒損失額を減算して申告します。ちなみに法人税法上、いわゆる損金経理(経費を仕訳計上すること)を要件とされる場合もありますので、念のため過年度の特別利益(過年度損益修正益)をたて、同時に貸倒損失を計上することによって損金経理要件をクリアしておくと良いでしょう。

2011年11月20日号(301号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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