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佐藤会計タックスニュース

vol.224 負担付き贈与と預かり敷金

 こんにちは。

 思えば2週間くらいの選挙運動で決まってしまう自民党の総裁選って何か軽い感じがしますね。アメリカ並みにもう少し時間をかけて討論させる必要があるんじゃないでしょうか?日本の将来のために、力のある指導者を望みたいですね。

 さて、今回は「負担付き贈与と預かり敷金」です。

 通常の贈与税の課税価格(贈与税の計算の基礎となる財産の価額)は相続税評価額となります。土地であれば路線価や固定資産評価額を基準に計算するのですが、「負担付き贈与」については「合理的な理由」がある場合をのぞき「通常の取引価格」によって計算します。これは通常の取引価格と贈与財産の評価額とのズレを利用した節税策が横行したため、そのズレを「みなし贈与」としたもので、たとえば

 (例)1億円で新築したアパート(相続税評価額5千万円)を、銀行借入金5千万円を引き継ぐことを条件に親から子へ贈与した場合

 (贈与税の計算)相続税評価額は5千万円ですから5千万円(評価額)―5千万円(銀行借入金)=0円ということで贈与税はかからず、その後その子がそのアパートを1憶円で売った場合は1憶円―5千万円=5千万円の利益が残り、贈与税や相続税を払うことなく実質的な財産の移転が出来てしまうことになります。

 そのためこのような「節税」的抜け穴をふさぐために、平成元年から負担付き贈与の場合は、「合理的な理由」がない限り、相続税評価額ではなく「通常の取引価格」(まあ買った金額とお考え下さい)により計算することになったのです。

 ところで平成16年、国税庁は新たな「質疑応答」を発表しました。それは「相続時精算課税による贈与」と賃貸アパートの敷金の関係で、結論からいえば賃貸アパートを「相続時精算課税による贈与」で(仮に)親から子に贈与する場合、アパート賃借人からの預かり敷金をそのまま親から子に渡すときは負担付き贈与に該当しないため相続税評価額で計算し、預かり敷金を渡さないときは子が将来その敷金を負担することになるので負担付き贈与に該当し、そのときは通常の取引価格で計算するというものです。つまり賃貸アパート(通常の取得価格1憶円、相続税評価額5千万円)に預かり敷金200万円が債務として存在する場合、通常の贈与とされるときの贈与税の課税価格は5千万円ですが、負担付き贈与とされるときは1憶円―200万円=9800万円とされます。賃貸アパートの節税策についてはほかにも取り扱いに注意しなければならない点があります。間違えると大変ですので、相続税や贈与税に詳しい税理士に相談されることが一番です。

2008年9月20日号(224号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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