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あけぼの・経営ニュース

vol.384 出国税

 毎日毎日、雨ですね。

 錦織は全英を怪我で棄権、なでしこも決勝で負けてしまい、何か張り合いのない日々になってしまいました。とは言え、今年前半を大過なく過ごせたことに感謝し、後半に向けて頑張って仕事に励まなければなりませんね。

 さて、雨でパッとしない梅雨ですが、気晴らしに今回は我々一般人にはなじみが薄い「出国税」について書かせていただきます。

 今月7月1日から「出国税」が始まりました。正式には「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」制度と言いますが、「出国直近の10年内で5年間超わが国の居住者であった者」が出国する場合には、原則として、その保有に係る株式(トータルで1億円以上のみ)の含み損益について、その時点で「実現」したものとみなして、譲渡損益課税を行うというものです。

 これは、シンガポールや香港など株式売却益に課税されない国に出国して「非居住者」となり、その後株式を売却すれば税金がかからなくなることから、「資産フライト」の一種として、資産家の間では少なからず行われてきた方法でしたが、今回このやり方に課税の網が被せられました。

 この制度をわかりやすく言うと、たくさんの株とかを持っている場合、日本を出国する時に、売ってもいない株式に対して売ったものとして税金をかけられてしまう、というもので、荒っぽい感じはしますが、実はアメリカやカナダ、オーストラリアなどではすでに導入されている制度です。

 この制度の問題点は、「実際には売っていないから現金がない、すなわち納税資金がない」ということです。たとえば、単なる富裕層だけではなく、会社の指示で海外転勤を余儀なくされるサラリーマンも対象となりますので、ホントの富裕層だったら軽く納税できるところ、最近の株高を反映して株式投資を続けた結果、時価で1億円を超えてしまったような「一般人」には、つらいものがあります。そんな事態も想定されることから、課税されても一定期間は納税が猶予され、海外でその株式等を売却することなく5年以内に帰国すれば、その「納税猶予」された税金がチャラになる制度も作られました。

 日本も、将来のギリシャ予備軍ですから、税収は大切です。払うべきものは、払いましょうね。

2015年7月5日号(384号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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